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「タナカカツキのマトリョニメ展」タナカカツキ×伊藤ガビン
レポート

text:ドイケイコ

「タナカカツキのマトリョニメ展」タナカカツキ×伊藤ガビン_c0103430_11435917.jpgロシアの木製入れ子人形、マトリョーシカを1度にこんなにも見たのは初めてだった。入れ子から出たものを含め総勢280体。しかも、すべてタナカカツキ氏によって鮮やかに着色されたマトリョニメ(マトリョーシカ+アニメ)の原画であるため、ちょっと異様な光景でもあった。






「タナカカツキのマトリョニメ展」タナカカツキ×伊藤ガビン_c0103430_1149326.jpg今回作成されたマトリョニメは、どこか切なくも可愛らしい音楽に合わせて、マトリョーシカが歩きながらどんどん変容するものである。最初、金髪の可愛らしい少年のマトリョーシカが歩いているのだが、その腹の部分に描かれた犬が外へ出てこようとし、犬が出た後、今度は犬の腹の部分に描かれたウサギが出てこようとする(右画像)。つまり、皆、外に出たがる話だ。しかし、タナカ氏いわく「これはまだまだ導入部」とのことで、本人たちが意志を持って外に出てきたのかは謎。ただ、制作にえらく時間がかかるため続きは随分先のようだ。

とにかく、一見、作品全体はメルヘンチックで可愛らしく感じるが、よくよく作品の表情を見てみると、少年は鼻水がたれ、犬やウサギの顔つきもギャグ漫画に出てきそうなふざけた顔をしている。
この全体を通して醸し出される絶妙なアンバランス感がたまらなく、タナカ作品の何よりの魅力だと思った。

また、伊藤ガビン氏が手がける作品へのキャプションも注目して欲しい。今回、原画展ということで、マトリョーシカ以外、かつてタナカ氏が手がけたアニメ作品の原画にもキャプションが添えられているのだが、そちらも要必見。
伊藤氏がキャプションをつけることで、タナカ氏の作品をより一層気になるものにさせ、観る者の想像をかき立ててしまうのだ。

何度もクスッと笑わされてしまうタナカカツキ×伊藤ガビンの独特の世界を、是非、覗いてみて欲しい。


「タナカカツキのマトリョニメ展」
art space kimura ASK?
2007年7月17日(火)〜7月28日(土)
11:30〜19:00(最終日17:00まで)日祝休
>>詳細
by art-drops | 2007-07-22 11:42 | レポート
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