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by art-drops
| 2011-06-19 15:45
レポート text:金子きよ子 9月の上旬、私は群馬県中之条町で8月22日から9月23日まで行なわれていた中之条ビエンナーレ2009というアートイベントに行ってきました。 中之条ビエンナーレは2年に一度、アーティスト主導で行なわれる大規模なアートイベントで、今年が2回目になるそうです。 このアートイベントに行くことになったのは、佐野恭子さんという美術作家さんとお知り合いになったことがきっかけでした。 fooという建築ユニット主催のトークイベントの懇親会時、たまたま隣に居合わせたさっぱりとして優しい笑顔が印象的な女性。それが佐野恭子さんでした。 会話の中で、8月から開催される中之条ビエンナーレに出品されるとお聞きし、どんな絵を描かれるのだろうと興味がわいて、9月の上旬、中之条町に行くことにしました。 当日、佐野さんにご案内いただいて町に一歩足を踏み入れると、ちょうど地元のお祭りの最中で、町はぐんと賑わいを見せていました。 そんな中で広大な展示場を一つ、また一つとめぐっていくと、受付には地元の主婦の方々が世間話かたがた楽しそうに観客を出迎えており、近所の同級生宅に遊びにいくような親しみやすい印象がとてもGOOD。 展示場も、旧酒蔵や廃校になった小学校、閉鎖されたパチンコ店など、なんともユニーク。作品と同時に風景も楽しむことができるのがまたGOODだなと思いました。 そして、いよいよ佐野恭子さんの作品の展示されている旧稚蚕飼育所へ。 ガランとした室内の白い壁面に、平面の作品が何点も展示されており、作品によって外界と室内とがゆっくりとつながっていきます。そして、作品一つひとつから、誠実に、真摯にモチーフと向き合っている気配がゆったりと漂っていました。 作り手の方の人柄や思いは作品に反映するんだなぁ。今日この絵を観れてよかったなぁとしみじみと思いました。 そして、その後いくつか作品を観て、家路に。 全体として、同窓会に出席するために地元に戻ったような、懐かしい手作り感のあるアートイベントでした。今回は日帰りでしたが、次回開催されるときは、もっとゆっくり泊りがけでいきたいな。 佐野さん、一日ご案内いただきまして、本当に有難うございました。 #
by art-drops
| 2009-09-24 22:35
| レポート
レポート Text 谷屋 恥ずかしながら一度も行ったことがありませんでした。 たまたま友人の結婚式が白金台であり、駅で看板を発見。 へー、美術館あるんだ、ぐらいの気持ちでふらっと行ってみたら、すごく良かった! ぜひぜひ行っていただきたいです。 建物自体の趣がすごい。凝ったつくりの数々の部屋。 そこに作品が飾られていると、ふたつのパワーが相まって、 建物全体がひとつの作品のようでした。 来てよかった~と思いました。 展覧会は「Stitch by Stitch ステッチ・バイ・ステッチ 針と糸で描くわたし」 その名のとおり、刺繍作品などがあります。 が、ただの刺繍じゃありません! 中でも素敵だったのは、手塚愛子さん、村山留里子さん。 手塚さんは、art dropsでも2007年に取材させていただいた方です。 刺繍の表でなく、裏側を作品として見せていますが、 空間いっぱいに鮮やかな色の糸がたれている様は迫力。 作品が以前よりもっともっと研ぎ澄まされた印象を受けました。 お庭の広くて素敵なので、歩きやすい靴と、晴れている日は日傘や帽子を忘れずに、 歩いてみてほしいです。 私は暑さとヒールのため、断念しました…。 【期間など】 Stitch by Stitch ステッチ・バイ・ステッチ 針と糸で描くわたし 7月18日(土)~9月27日(日) (8月10日~16日は20時まで開館。8月12日は閉館) http://www.teien-art-museum.ne.jp/index.html #
by art-drops
| 2009-08-04 10:41
| レポート
レポート text:金子きよ子 最後に、2度訪れた作品について。 ラニ・マエストロというマニラ(フィリピン)出身の女性アーティストの作品で、吐く息をテーマにしている『Higugma(Breath.息)』という作品だ。 築100年になろうかという古い長屋の1階と2階の壁一面に、蝋燭の炎から立ち上がる煤(スス)によって和紙に描かれた抽象画のインスタレーション作品が立てかけられている。 ボランティアの女性の解説によると、彼女は血のつながらない母に育てられたという。しかし、親子は非常に仲がよく、まるで水墨画のようにも見える淡い色調の作品にはうっすらと、しかしびっしりとフィリピン現地の言葉で『愛している・信頼している』といった意味合いの言葉が描かれている。 エピソードを聞いて、余計に心に沁みたその作品にもう一度会いたくて、帰宅する日、再度長屋を訪れた。 たまたま運が良く、他に客はおらず、作品と一対一で向き合ううち、昨日観た印象と何かが違って見えることに気がついた。 昨日は、優しい、暖かさとかぬくもりを感じたのだが、もう一度訪れたとき、そこには何か優しさだけじゃない強さと厳しさと、そして、『意思ある愛』のようなものを感じたような気がした。 まるで、温かくて居心地の良い温泉が恋しくて、もう一度温泉に入りたいと訪れた私に、『今目の前にある現実に向き合いなさい』と厳しく、しかし、愛情を持って、そっと肩を押してもらったような気すらした。 作者が何を思って作品をつくったか、私は深く理解していない。 しかし、一方で、一つの作品を媒介として、現時点での自分自身と深く向き合うきっかけを貰っただけでも、今回の混浴温泉世界を訪れて良かったと心から感謝した。 今目の前にあることに向き合う。 それは、今私がもっとも強く望んでいることなのかもしれない。 #
by art-drops
| 2009-06-09 12:40
| レポート
レポート text:金子きよ子 美術の面白いところは、すべてがそうだというわけではないが、小説や映画などと比較して、作者の思いが言葉というある程度意味を限定するものを排している分、より、観る側の心模様を投影して、様々に受け取れるところだと思う。 私は常々、人は自分の中にあるものに反応し、そうではないものにはそれほど深く反応しないと思っている。 混浴温泉世界で展開された数々の作品は、どれもとても興味深いものだったが、とりわけ正反対の意味で、2つの作品が最後まで自分の中に引っかかった。 1つは、観ることを拒否してしまったことで。 そして、もう1つは、2度訪れたことで。 それぞれ、“現時点での”自分の心模様について、深く掘り下げるきっかけをもらったように感じている。 観ることを拒否してしまった作品については、観ていないから、今何かを述べることはできない。 ただ、観ることを拒否したという行為そのものが、観たくないものから目を背けたい“現時点での”私と、一方で、なぜ観なかったのだろうと今でも気にしている自分が、目を背けてはならない、向き合わねばならないと葛藤しているということに改めて気づかされたりした。 2度訪れた作品については、レポート3で述べることとして、別府を訪れた無数の人々が街を彷徨い、作品と対峙することで、一人ひとりのそれぞれの現在の心境を作品に重ね合わせ、新たに無数の物語が立ち上っていくと想像すると、とても素敵でそれ自体、とても意味のあることだと感じた。 #
by art-drops
| 2009-06-09 12:15
| レポート
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