「タナカカツキの太郎ビーム!展」岡本太郎×タナカカツキ
レポート

text:ドイケイコ

c0103430_815859.jpg「芸術は爆発だ」の名言で知られる芸術家、岡本太郎氏が他界して11年もの月日が経過した。しかし、今尚、太郎氏の作品、思想、生き方などに影響を受ける人々は絶えない。そのひとりとも言える漫画家タナカカツキ氏は、今回、太郎氏の作品とコラボレーションして、新たなタロウ・ワールドを展開させた。


「太郎園」 岡本太郎の「太陽の塔」(※1)の背後からタナカカツキ氏の映像作品を投影している





c0103430_821926.jpgタナカ氏と太郎氏の接点で一番思い出されるのは、タナカ氏の漫画「オッス!トン子ちゃん」であろう。この漫画は、ごく普通の純朴な少女、トン子ちゃん(右画像:※2)が喫茶店でふと太郎氏の画集を手にしたことから始まる。その後、トン子ちゃんは太郎氏の作品を観たり思想や哲学を感じたりして人生について深く考えるのだが、これは太郎氏に影響を受けたすべての人々に共通することではないだろうか。
そして、実はこの漫画には、太郎氏の著作権者である故・岡本敏子氏に了承を得ず勝手に出版したという裏話もあった。そのため、数年前、今回の展覧会のキュレーターでもある山下裕二氏はタナカ氏を敏子氏に紹介した。すると、ホンモノの表現者を一発で見抜く敏子氏は「あなた、凄いじゃない、どんどんやりなさい!」のようなことをタナカ氏に言ったそうだ。(同展パンフレットに記載された山下裕二氏の記事より)
その話を踏まえると、今回の展覧会もなんだか感慨深いものに思われた。


c0103430_84348.jpgさて、同展では「いこい」(左画像:※3)や「豊饒の神話」など太郎氏の未完成の作品も用いられており、それらへタナカ氏の映像作品が投影されたものが非常に魅力的であった。もともと太郎氏の作品には力強さや躍動感が満ち溢れている。そこへ実際に動きのあるタナカ氏独特の映像が加わることで、まさに新しい生命が宿ったように見えた。

ふつふつと湧き上がる生命のエネルギーを全身で感じるような、なんとも神秘的で気持ちの良い体験をさせてもらった幸せな展覧会であった。


※1 「太陽の塔」岡本太郎 1970、FRP、日本万国博テーマ館太陽の塔、h70m原型
※2 「トン子立像」タナカカツキ 
※3 「いこい」岡本太郎が作品を途中まで描いたキャンバスの上にタナカカツキの映像作品を投影している


タナカカカツキの太郎ビーム!展
岡本太郎記念館
2007年4月26日(木)~7月29日(日)火休
10:00〜18:00
>>詳細
[PR]
by art-drops | 2007-07-23 22:01 | レポート
<< 場所の空気感 「タナカカツキのマトリョニメ展... >>