始まりはゴッホだった 
エッセイ

text:金子きよ子

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ゴッホ「夜のカフェテラス」1888年

絵画との出会いは中学生の頃。母が近くの図書館から借りて来た画集を毎週夢中になって読んだ。ゴッホ、ルノアール、ピカソ、ルソー。画集には、作家の作品制作の時系列に添えて画家の歩んだ人生が解説されていた。画家や画家が生きた時代に思いを巡らすと、その時代にタイプトリップして、漂う空気の匂いまで感じられるような気がした。当時とりわけ好きだった画家はゴッホ。今にして思うと、独特の作風だけではなく、もともと画家ではなかった彼の数奇に満ちた運命に強く惹かれていたのかもしれない。



大学入学を機に上京。日々の暮らしに追われて、絵画への興味はだんだん薄れていった。

就職してしばらく経った頃、思い出したように絵を習い始めた。そして、初めて現代アートを知った。現代アートを知ったことによって、アートというものが分からなくなっていった。自分がどの作品が好きか嫌いか、そんな単純なこともわからない。一体わたしはなんなんだろうとイライラした。

その後、さまざまな経験を通して最近気づいたこと。

「人の、心なんだ。」

解らないなりに、なぜ、敢えて作家になったのか?なぜ、創るのか?そして作品を創ることで作家自身、そして作品を観た観客がどんな影響を受けるのか?そして、なぜ影響を与えるのか?

昔も今も、作品によって動かされる「人間の心」にとっても興味を惹かれているということに。

そして、昔と比べ、ひとつ変わったこと。一人で画集を読んで、胸を躍らせるだけではなく、作品を観て心動かされたことをより多くの人と共有したいな。

ここまで気づくのに随分長い時間かかった。だけど、やっと見つけたことだからこそ大切にしていきたいなと思う。
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by art-drops | 2006-11-13 23:18 | レポート
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