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2008年10月25日、『島の色 静かな声』
レポート

text:金子きよ子

以前art dropsでインタビューさせていただいた茂木綾子さんの監督作品、映画『島の色 静かな声』が東京国際映画祭で上映されると知り、期待に胸を弾ませてTOHOシネマズ 六本木ヒルズに足を運んだ。



西表島を舞台に、染織家の石垣昭子さんと、その夫で三線の名手である石垣金星さんの日常を描いたドキュメンタリーの映像作品だ。

映画は終始ゆったりとしたテンポで進んでいく。常日頃から余裕なく慌しく駆けずり回っている私は、一瞬そのテンポに戸惑う。

カメラで捉えられた映像は、きわめて被写体に寄っていて、全体像が見えない。

石垣昭子さんと金星さんの語る言葉は、訥々と、そして、ゆったりと語られる。まるで、ひとつひとつが物語のように。


そうして、そのテンポに包まれていくうち、次第に自分自身、ゆったりとした映画の世界に惹きこまれていく。


いつしか、染織と色をテーマにした作品を撮ろうと石垣昭子さんの元を訪れる茂木さんが、ご夫婦と島の暮らしに影響され、染織と色と島が溶け合い、交じり合い、ひとつの作品として昇華してく様を、息をひそめて見守っていた。



沖縄に住んだこともないのに、懐かしい故郷を思い出して、心が震えた。


もっと、大切にすることがあるのかもしれない。



声高に語られない。だからこそ、静かにメッセージを放つこの作品を、できるだけ多くの人に観てもらいたい。そう強く感じた。


silent voice 公式サイト
by art-drops | 2008-10-25 12:05 | レポート
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